猫との暮らし

猫の老化を見極めるサインとは?猫の老化に合わせた3つのケア

黄トラ猫

猫は、人間の還暦に相当する10~11歳になっても若々しく、とても老猫には見えないものです。(猫の老い方には個体差があります。)

でも8歳を超える年齢になると、見た感じは若くても猫の老化は確実に進行しているので、それを見極めるサインを見逃さないよう、普段からしっかり観察してあげる事が大切です。
猫の老化のサインに気がついたら、それに応じてケアを開始してあげましょう。

この記事では、老化の段階毎に見極めるべきサインを各種ご紹介する他、猫の老化に合わせてケアする「食事」「メンタル」「トイレ」の3つのポイントについても解説していきます。

猫の老化を見極めるサイン

猫の老化を見極めるサインは、普段の行動や外観を注意深く観察する事により、若かった頃と比較して変化を容易に認識出来るパターンがいくつかありますので、それらをサインとして覚えておくと便利です。

前足を閉じて座る若い猫と、開いて座る老いた猫

例えば、左側の猫は前足を揃えて座っていますが、右側の猫は前足を開いて座っています。

若い猫なら、全身の筋力やバランス能力が高いので、無意識のうちに綺麗に前足を揃えて座りますが、老化して筋力やバランス力が低下してくると、前足を開いて座るようになります
これら2枚の写真は解説の為に用意したので別の2頭の猫ですが、飼っている猫の老化を見極める場合には、その猫の過去と現在を頭の中で比較して、猫の老化を見極めるサインに気づく必要があります。

「以前は前足を揃えて座っていたのに今は足を開いている。老化したんだな。」

といった具合です。

簡単な事のように思えるでしょうが、意識が猫の前足の幅に向いていなければ、その変化に気づく事もできません。
だから猫の老化のサインには、どのようなものがあるかを予め知っておいて、日々猫と接する時に老化のサインの事を思い出しながら、チェックする必要があります。

なぜ猫の老化にタイムリーに気づいてあげる必要があるかと言うと、猫が老化する事により、それまでは当たり前のように出来ていた日常生活での様々な事が、次第に猫にとって難しくなっていくので、そうした事に伴って増えた負担を、できるだけ時間差無く軽減してあげる必要があるからです。
猫の老化に気づくのが遅れてしまうと、それだけケアを開始するのも遅れ、猫には無駄にストレスを与える事になってしまいます。

老化を見極めるサインの具体例

猫の老化を見極めるサインは、猫の年齢によって、比較的若い時から出るものもあれば、かなり老化が進んでから出るものもあります。
その為、ある程度サインが出やすい年齢毎に分類しておいた方がチェックし易いと思われましたので、猫の年齢を3段階に分けて、それぞれで典型的な老化のサインをご紹介してみました。(猫の個体差により、順序が変わる場合があります事、予めご了承下さい。)

8歳~12歳前後の老化のサイン
  • 座る時に、前足を揃えず、間隔を開けるようになる
  • 毛づくろいが減る、しなくなる
  • 寝ている事が多くなる

12歳~14歳前後の老化のサイン
  • 痩せてくる(食が細くなる)
  • 爪研ぎが減り爪が出っぱなしになる(床を歩くと爪でカチカチ音がする。)
  • 殆ど遊ばなくなる

14歳以上の老化のサイン
  • 反応が鈍くなる
  • 殆ど1日じゅう寝ている
  • 無駄に鳴き続けたり、間を開けずに食事の要求をする(認知症の可能性も)

このように猫の年齢によってもサインは異なってくるのですが、歯が抜けたり、呼吸が荒かったり、体を触ると痛がったりと、明らかな異常を示す事もあるので、そうした場合には早めに獣医さんに診てもらうようにしましょう。

老猫になったらケアはどうするの?

猫のケアとは、猫が生きていく中で必要になる全ての事柄について、あなたがいつも猫のつもりになって改善できる事がないか考え、探し、工夫し続けてあげる事を指します。
例としては、

  • 猫にとって難しくなってしまった事を見つけて少しでも簡単にしてあげる
  • 安心して気持ちよくいられるように環境を整えてあげる
  • トイレの数を増やして、トイレまで歩いていく負担を減らしてあげる

等が挙げられますが、実際には他にも無数にあります。
以下ではケアの中心となる食事、メンタル、トイレの3つについてポイントをまとめてみました。
でも、これらもあなたが猫にしてあげられるケアの、ほんの一部に過ぎません。
ぜひあなたご自身でも、考えたり、情報収集する等して、少しでも猫が、より快適に暮らせるよう、ケアしてあげて下さい。

老猫の食事ケア

猫の老化が進むに従い、歯や消化器官全般が弱ってくるので、より食べやすくて消化の良いもを選んであげるようにします。
また食欲も減退する傾向にあって痩せていく場合が多く、それが続くと体力・筋力の低下も早まりますので、美味しいごはんを選んであげるのは勿論、ごはんの温度や食器の種類、食事する場所等についても、猫が無理なく安心して美味しく食事できる環境に整えてあげましょう。

食事ケアのポイント
  • 老猫の主食は、年齢に合ったシニア用フードから選ぶ。
  • 老猫は食欲のムラが激しくなるので、いつでも食べられる状態をキープする。
  • 食器は陶器かステンレス製から選ぶ。
  • 好物だった固形フードが食べられなくなっても工夫はできる。

老猫は食が細る傾向にあるので、栄養のバランスも偏りがちです。
シニア用フードは、総合栄養食と標記されているものから選ぶと安心です。

猫の食事は1日2回くらいが目安になりますが、老猫の場合は食欲にもムラができてくるので、いつでも食べたい時に食べられる状態にしてあげます。
但し、食べ過ぎはいけないので、必要に応じて、1日の食べる量やペースは飼主が調節してあげます。

プラスティック製の食器は洗っても臭いが残りやすく、敏感な猫には不向きです。
陶器かステンレスのものから選んであげて下さい。
陶器やステンレスであっても、洗剤の臭いが残っていては台無しですから、最後はしっかり水で洗い流す事をお忘れなく。

食器の高さにも配慮が必要です。
床に直接食器を置くよりも、台を使って猫の肩くらいの高さにしてあげると、食べやすくなります。
飲み水も同様です。
私もこの事に気づくまでに時間がかかっていまいましたが、もっと早く対応してあげておけば良かったと後悔しています。
ネットで「猫 台」で検索すれば、ピッタリのものが見つかるでしょう。

食事の時に足元が滑ってはいけないので、フローリングの場合は、餌場だけでも絨毯等の敷物を敷いてあげます

好物だった固形フードがあれば、お湯で少しふやかしてから裏ごししてペースト状にしてあげると、喜んで食べる場合があります。

老猫のメンタルケア

加齢に伴って体力が低下してくると、猫の気持ちも沈みがちになるものです。
1日に何回かは猫の側へ行き、スキンシップしてあげたり、やさしく話しかけてあげる事で、猫は安心し、リラックスして過ごせるようになります。

メンタルケアのポイント
  • 引越しや模様替えが老猫には大きな負担になる事を理解する。
  • できるだけ猫の側にいる時間を増やし、スキンシップして猫を安心させる。
  • 猫はどんな場合でも、叱ってはいけない。
  • 猫にとって飼主はいつまでも大好きなお母さんであり続ける。

猫は環境の変化を嫌うので、引越しや部屋の模様替えは、できるだけしない事が猫の為になります。

猫が歳をとると飼主への要求が減り、寝ている事が多くなって手がかからなくなりますが、猫は飼主が側に来てくれるのを待っているし、側に来てくれれば喜びます。
表情だけでは判りませんが、やさしく声をかけてあげるのも猫には嬉しいのです。
ただし、よく寝ている時は起こさないように注意しましょう。

トイレや食事で失敗しても、叱ってはいけません
猫は犬と違い、失敗した事と叱られた事とを結びつけて理解できないと言われています。
猫を叱ると、猫は理由が判らないので不安に感じ、それが強いストレスになってしまうのです。

野生の母猫は子猫がある程度育つと、餌を与えなくなるばかりか、子猫に冷たくして子離れさせようとします。
子猫は、もっと母猫に甘えていたいのですが、仕方なく母猫から離れていき、自力で狩りを行って食べ物を得ながら、次第に大人の猫へと成長していきます。

ところが子猫の時に飼主が現れて食べ物をもらうようになると、子猫にとっては飼主が第二の母親になります。
食べ物をもらい続ける限り、子猫が真の大人に成長する事はなく、精神的にはずっと子猫のままです。
そうした猫は何歳になっても、飼主が世界一大好きなお母さんであり続けるのです。

老猫のトイレケア

老猫になると、トイレに関して様々なトラブルが表面化してきますが、猫に罪はありませんので、おおらかに接してあげて下さい。
少しでも猫のトイレがスムースにできるよう、色々と配慮してあげる必要があります。

トイレケアのポイント
  • 老猫のそそうが始まったら、猫がトイレで困っている事が無いかを考えてみる。
  • ペットシーツやオムツが、利用できるかも知れない。
  • 自力での排泄が困難になったら飼主が排泄を介助する。
  • 排便や排尿の頻度に気をつける。

猫の老化に伴い、トイレの場所を増やすと、猫の利便性が向上します。
トイレの敷居が老猫には高すぎたり、トイレが狭すぎてもいけません。
猫の加齢に合わせて、トイレで何かしら工夫してあげられる事がないか、常に考えて下さい。

ペットシーツを寝床の側に敷いてあげると、そこでしてくれる場合があります。
排泄の介助をする時には、予定の場所以外に飛び出してしまう事もあるので、そういう可能性のある所にもペットシーツを敷いたりしていました。
ペットシーツは、使いみちが多様で介護には欠かせないグッズですので、多めに買い置きしておくと良いでしょう。

そそうが頻繁になったら、オムツの出番かも知れません。
ペット用は勿論、赤ちゃん用のオムツも、尻尾が出る部分に+の切れ込みをハサミで開けてあげれば代用できます。(丸い穴を開けると、オシッコが漏れてしまいます。)

自力での排泄が困難になった場合には、飼主が介助して排泄させる事が可能です。
尿は膀胱を、ウンチは大腸を、手の指で圧迫する事で、排泄させる事ができます。
獣医さんに方法を教わり、少し練習すれば、誰でも出来るようになれます

排泄の介助は猫にとって気持ち良いものではないので嫌がりますし、ウンチの時には痛がって鳴いたりもします。
でも、そんな痛くて嫌なことを毎日繰り返されても、猫が飼主を嫌うような事は全くありませんでした。
それどころか時が過ぎていくほどに、相互の信頼が深まっていくのを感じていました。
猫には、自分が世話をしてもらっているという認識ができるとしか考えられません。

排便の間隔が長く開くようであれば、獣医さんに相談して下剤を出してもらうと良いかも知れません。
高齢猫の場合は4~5日に1回でも正常の範囲である場合もありますが、心配な時はすぐ獣医さんに問い合わせましょう。
排尿は24時間出なければ、命が危ない状態ですので、早めに動物病院へ行って下さい。
(私も排尿の介助が不慣れな頃に、20時間以上排尿の間隔が開いてしまい、夜間診療で深夜でも空いている動物病院に駆け込んだ事があります。猫を助けてもらった後、排尿の手伝い方を教わり直しました。)

猫にあまり手が掛からなくなったと気づいたら

猫が若くて元気な時は、自分からいろいろな事を言ってくるので、それにきちんと答えてあげるだけでも十分ですが、いつしか猫が大人しくなり、老猫

「あまり手が掛からなくなったな」

と、気がつく時が来ます。
それが、あなたが猫の老いを実感した瞬間です。

でも、手が掛からなくなったのをよい事に、猫を放置してはいけません。
少なくとも1日に一度は、猫の息が聞こえるほど、あなたの顔を猫に近づけて、猫とのふれあいの時間を作って下さい。
猫の方からあなたにいろいろ要求していた時代は終わり、これからはあなたが猫の望んでいる事を察してあげる番です。

猫が満たされているなら、あなたの頬をそっと猫にくっつけてあげるだけでも十分です。
すぐに「ゴ~ロ、ゴ~ロ」と喉を鳴らし始めるでしょう。
その音を聞く事は、あなたにとっても猫にとっても、素晴らしい癒やしの一時となります。

そうした幸せな時間を猫と共有できるのも、もうそんなに長くは残されていない事に気づいて下さい。
そうして猫とあなたとの絆は、日毎に深くなっていきます。

まとめ

猫を飼っていても、その老化にはなかなか気づき難いものです。
でも、老化を見極める為のサインを知り、日頃から注意して猫と接していれば、猫の老化を見逃す事も無く、必要なケアをすぐにしてあげる事ができます。

老化が始まると、身体機能も脳の機能も、若い頃より低下していくので、日常生活での、いろいろな事が猫にとって難しくなっていきます。
だから飼主がケアしてあげて、猫の負担を軽減してあげる必要があるのです。

猫と長く暮らしていると、ふと、

「あまり手が掛からなくなったな」

と感じる時が訪れます。
それが、あなたが猫の老いを実感した瞬間であり、と同時に、あなたと猫が互いにかけがえの無い存在である事を確認し合い、絆を深めていく日々の始まりともなります。
いつ別れの時が訪れても後悔しないように、猫を大切にしてあげて下さい。