空母いぶき

『空母いぶき』第五巻【敵の死、味方の死】

空母いぶき第五巻

今回の記事では『空母いぶき』第五巻の内容をご紹介します。
軍隊であって、軍隊でない自衛隊が持つ矛盾に気づいて頂けると、幸いです。

空母「広東」からは15機の殲20を発艦させ、数で劣る自衛隊機にプレッシャーを与えてきますが、彼ら中国軍の「」である早期警戒管制機「空警500」を失っている不利な状況である為、直ちには攻撃を仕掛けてこず、二機目の早期警戒管制機の到着を待つ間、自衛隊機に負荷を与え続ける作戦をとってきます。
これを見抜いた秋津艦長は、はやるパイロットを落ち着かせ、航空部隊の消耗を最小限に留める指示を出します。

そうこうしている間にも、多良間・与那国両島、及び尖閣諸島の武力奪還の意思を固めている政府からの指令を受けた自衛隊は、海と空から上陸作戦部隊を送り込むべく、隊員の輸送の準備を開始しています。
しかし、無事に部隊を上陸させる為には、強力な対艦ミサイル等を備えた中国軍の駆逐艦「哈爾濱(ハルピン)と、「洛陽(ルオヤン)を無力化させておく事が、絶対に必要となります。

笑い話のような攻撃を強いられてもまじめに戦う自衛隊

射程120Kmの対艦ミサイル(ハープーン)を打ち込む事がまず検討されますが、これを使うと敵艦を撃沈してしまう可能性が高くなります。(出典:海上自衛隊HP)

そこで、敵駆逐艦の火力を無力化する事を目的として、イージス艦「ちょうかい(浮舟武彦艦長)の艦砲射撃にて、敵艦の主要火器をピンポイントで破壊していく作戦が立てられました。

遠くから対艦ミサイルで攻撃する事に比べ、射程距離30Kmの主砲で艦砲射撃を行う為には、当然敵のレーダー探知圏内に入る必要があり、ちょうかいが攻撃を受けるリスクは確実に高まります。
とは言え、艦船もろとも撃沈させてしまえば、生き残った将兵を救助する義務まで背負う事態が予想され、航空優勢と海上優勢の確立が絶対的使命である第5護衛隊群の手にあまる事態に陥る可能性があります。
そうした諸事情がある中、浮舟艦長であれば使命を遂行してくれる可能性が高いとの秋津艦長の判断があっての作戦決行となりました。

ちょっとネットで調べた範囲内の事ではありますが、現代の艦船同士の戦闘においては、やはり長射程のミサイルの使用が中心であり、そのミサイルの射程範囲内に深く入って行って、主砲で敵艦の装備を叩くという発想は、ほぼ現代の艦船の設計思想の段階で完全に「想定外」の事のようです。

この第五巻のちょうかいの作戦にしても、敵兵の被害を減らす目的で敵のレーダー探知圏内に入って行く訳ですが(しかも敵は2艦)、万が一にも敵駆逐艦のミサイルに当たってしまえば、今度は自衛官300名の命にかかわる可能性がある訳ですから、作戦が失敗に終わった場合は勿論、仮に成功したとしても、指揮官の責任は厳しく問われる事になってしまうのではないでしょうか?

ちょうかい」の主砲は射程30Kmで、敵艦の主砲より10Kmも射程が長く優位ですが、敵も当然、足の長い対艦ミサイルを撃ち込んできます。
ここからはイージス艦「ちょうかい」の獅子奮迅の戦いぶりを、コミックでご堪能下さい。

艦船とF35の連携プレーで対艦ミサイルを掃討

ちょうかい」の活躍で海上の敵駆逐艦の無力化に成功しましたが、多良間島に中国軍が設置している複数の対艦ミサイルも、自衛隊上陸作戦部隊が上陸する前に、全て除去しておかなくてはなりません。
そこで、航空団司令の渕上一佐が選ばれ、僚機と共にF35JB二機で多良間島の敵対艦ミサイルの掃討に向かいます。

イージス艦「ちょうかい」が囮(おとり)となって多良間島近海を航行すると、中国軍が地対艦ミサイルを撃ってきます。
(引用:航空自衛隊HP)
その発射地点をレーダーに捕捉され難いF35JB二機で空爆する作戦です。
海と空からの見事な連携プレイにより、僚機一機とそのパイロット一名を失ったものの、多良間島の対艦ミサイルの掃討に成功しました。
敵地対艦ミサイルを攻撃した際に、隣接していた敵の弾薬庫を誘爆させてしまいましたが、人質となっている3000名の国民救出の為ですから、世界各国の指示を得られるはずです。
全ての原因は中国の侵略行為にあり、中国軍側に被害者が出たからといって日中の全面戦争に拡大させれば、世界の中国批判はより強まるはずです。

空と海の両方から与那国島上陸に成功した自衛隊の特殊作戦群(2個中隊240名)は、密かに中国軍の部隊を制圧していきますが、一人トランシーバーで交信中の兵士と遭遇し、特殊作戦群の隠密行動が敵軍に伝わってしまった事を悟るところで第五巻は終わります。

更に緊迫の度を増していく第六巻をお楽しみに。