空母いぶき

『空母いぶき』第六巻【禁断の矛(ほこ)】

空母いぶき第六巻

与那国島潜入に成功した特殊作戦群ですが、その存在を中国軍に気づかれたところで第五巻が終わり、今回の『空母いぶき』第六巻では、与那国島の島民約1000名が「人間の盾」として利用されるという緊迫した状況から物語が始まります。

多良間島の地対空ミサイルを、F35による空爆で全て破壊されている中国軍としては、与那国島の地対空ミサイルを守るべく、人質である約1000名の島民を分散させる作戦に出ます。(画像は航空自衛隊HPより引用)

横須賀の自衛艦隊司令部には、与那国島と同様、多良間島の住民も島内に分散収容させられているとの情報が入り、島民が地対空ミサイルの近くに移動させられた可能性がある為、F35による空爆はしばし延期となります。
と同時に、折角輸送機で島の近くまで来ていた第一空挺団のパラシュート降下も、延期が決まります。

しかしそれでは、与那国島に既に入っている2個中隊は、数で圧倒している中国軍から集中攻撃されてしまいかねません。
自衛艦隊司令部では、島民を巻き添えにせず、しかも特殊作戦群の存在も考慮した作戦の練り直しにとりかかります。

空母いぶきは希望の盾か、禁断の矛か?

その頃東京では、中国からのミサイル攻撃を恐れた都民の20%、300万人が都心を離れたものの、パニックや暴動等とは無縁の静かな朝を迎えていました。
徹夜で状況をモニターしていた東都新聞政治部の一の瀬記者は、コンビニのおにぎりを食べながら、

「空母いぶきが就役していなければ、政府が武力奪還の判断をする事もなかったはずだ。
仮に島民が解放され、尖閣を取り戻せたとしても、地上戦で数百名もの被害者を出してしまうとすれば、空母いぶきは希望の盾(たて)とは言えず、禁断の矛(ほこ)ではないか!」

(出典:『空母いぶき』第六巻より、左翼系新聞記者の独り言)

なんて事を考えています。

一の瀬に代表されるような左翼系マスコミは、戦争(戦闘を含む)絶対悪とみなし、国土の防衛は二の次、三の次に考えています。
尖閣諸島の侵略に備えて空母いずもを就役させていたからこそ、実際に中国に領土を侵略されても、実力で奪還するという選択が可能だった訳ですが、左翼系マスコミからすれば、

「人命を失うようでは、禁断の矛に過ぎないではないか。そんなものは、最初から無い方が良いのだ。」

という事になってしまう訳です。

しかしこのような考え方は、私には非常に危険なものに感じられます。
自国の領土を不法に侵略されても、何ら抵抗する事も無いままむざむざ奪われるに任せているようでは、日本に主権国家を名乗る資格はありません。

戦争を肯定するつもりは毛頭ありませんが、不当な侵略行為に対しては、日本国民として敢然と立ち向かう気概を忘れるべきではないと思います。

C2輸送機による重火器投下大作戦を決行

時間の経過に伴い、自衛隊の特殊作戦群が窮地に追い込まれていく状態を打破すべく、彼ら特殊作戦群に向けて重火器を含む物資を輸送機から投下する作戦が、空母いぶき艦長、秋津一佐から立案されます。

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非常に危険な作戦ではありますが、空爆もできなければ、第一空挺団の降下もできない以上、既に潜入に成功している特殊作戦群の戦力を立て直す以外に、戦闘を継続する術(すべ)は存在しないという判断です。
(画像は航空自衛隊HPより引用)

F35の護衛が付くとはいえ、敵の地対空ミサイル、ロケットランチャー、機関砲等が待っている空域にC2輸送機で入る事は、まさに決死的作戦である為、この輸送機への搭乗は志願者に限る事になりました。
搭乗の志願者を挙手にて募ったところ、401飛行隊の隊員全員が静かに右手を挙げるのでした。

決死のC2輸送機は敵の高射砲に右エンジンを破壊されて遂には墜落しますが、補給物資の投下には成功し、特殊作戦群の戦闘力も大幅に向上しました。
まだ400対1000と、兵士の数では劣るものの、隊員の士気も上がり、互角以上にやれる状態です。
しかし全住民の解放となると、先の見えない戦いがまだまだ続く事になります。

その間にも、中国軍は尖閣諸島の基地化を着々と進めており、刻一刻と奪還の可能性が削られていきます。
秋津一佐は遂に、尖閣諸島の敵部隊攻撃を進言します。

第七巻をお楽しみに。