空母いぶき

『空母いぶき』第七巻 「攻撃の為の正当な手続きを踏む」とは?

空母いぶき第七巻

『空母いぶき』第七巻では、中国軍に占領され基地化が進む尖閣を攻撃するストーリー展開となりますが、これがまたしても矛盾に満ちた作戦となってしまいます・・・。

空母「いぶき」の秋津艦長は、中国軍が基地化を進めている尖閣諸島を、艦砲射撃にて叩く事を進言しました。
中国軍による基地化が完了してしまえば、中国の実効支配も既成事実化してしまい、奪還のチャンスを完全に喪失してしまう可能性が高いからです。

ここで最大の問題は、逃げ場の無い尖閣諸島に砲弾を集中させれば、中国軍の兵士に多数の被害者が出てしまう事です。
そこで秋津艦長は
「攻撃の為の正当な手続きを踏む」
プランを提案します。

攻撃の為の正当な手続き

そのプランとは、攻撃の事前通告を行う事です。
通告の結果中国がどう動くにせよ、それは中国側の判断であり、日本からの一方的な攻撃ではなくなるというのが提案理由です。

何より面子を重んじる中国が、事前に通告したからといって、素直に退避するかどうかは疑問です。
尖閣には1600名の中国軍兵士が基地化に従事しており、仮に2割程度に留まったとしても、相当数の被害者が出る計算になります。
このような事態となってしまえば、与那国島と多良間島で人質となっている島民が危険に晒されるのみならず、一気に日中全面戦争に発展してしまう恐れもあります。

しかし、このまま日本が尖閣の基地化完了を座視してしまえば、日本が尖閣を失うのみに留まらず、中国の侵略行為は更に拍車がかかり、アジア全体の脅威にまで拡大してしまう可能性が否定できなくなります。

「尖閣の基地化を阻止できなければ、尖閣は中国の実効支配化に入り、奪還する事ができなくなってしまう。
だから艦砲射撃で建設中の基地を破壊する事にしよう。
しかし、基地を完全に破壊するとなれば、敵兵に多くの被害者を出してしまう事になるが、それはまずい。
だから、事前に艦砲射撃を通告しておいて、敵が逃げてくれる事に期待しよう。
でも、通告しても逃げる為には時間も必要だろうから、攻撃の24時間前に通告する事にしよう。
但し、中国が撤退の意思を表明するなら、攻撃はしない。」


以上が、日本が熟考した末に出した「尖閣基地化阻止計画」ですが、ちょっと変じゃないですか?

私は強い違和感を感じます。
中国は、尖閣にピクニックに来てる訳ではありません。
軍事基地化に真剣に取り組んでいるのです。
尖閣を侵略するからには、日本の自衛隊が必死で反発してくる事は想定の範囲内の事のはずです。
なのに、上記の「尖閣基地化阻止計画」は、侵略者に対して気を使い過ぎではないでしょうか?
まあ、あまり私の違和感を押し付けてしまっても折角のドラマに水を差す事になり兼ねないので、この続きはまた別記事で書く事にします。

戦争回避の為の戦闘とは?

全面戦争の可能性を消しつつ、尖閣の奪還は有り得るのか?

官邸にて検討を重ねる事8日間にして、遂に総理が事前通告後の攻撃にGoサインを出します。
中国の面子を守る為に、尖閣の中国軍に対してのみ、極秘裏に攻撃の予定時刻を通告する事が条件です。

通告を行っても、中国軍は退避しないと推測する秋津艦長と新波副長ですが、

「倒さなければ、倒される」

という戦闘の原理に日本が乗ってしまった事を二人は覚悟します。

そして遂に、24時間後に尖閣攻撃を開始する通告がなされ、秒読みに入っていきます。

東都新聞政治部の一の瀬記者のエピソードが挿入されますが、マスコミの使命を根底からはき違えている日本の新聞記者が「ジャーナリズム」に陶酔して一人芝居している様子には、全く興味を感じる事ができず、さっさと読み飛ばしてしまいました。

尖閣諸島の砲撃の使命は、浦田鉄人一佐が艦長を務めるミサイル搭載型護衛艦「あたご」に託される事になります。

(画像は海上自衛隊HPより引用)

「あたご」には、護衛艦「せきどり」が追走し、対潜哨戒を主務として、尖閣砲撃のバックアップにあたります。

砲撃50分前となっても、空母「広東」の艦載機による、第5護衛隊群への攻撃は兆候すら無く、複数の潜水艦からの魚雷による飽和攻撃の可能性が高まってきました。

海中から迎え撃つは、滝隆信艦長率いる潜水艦「けんりゅう」です。
その壮絶なバトルによる第七巻のフィナーレをお楽しみ下さい。

第八巻をお楽しみに。