空母いぶき

『空母いぶき』第九巻【大型台風と勝負する中華空母】

空母いぶき第九巻

『空母いぶき』第九巻の冒頭では、中国の北海艦隊空母「広東」が、大型台風に向かって進んでいきます。
自衛隊が暴風圏を回避したのに対して、北海艦隊の旗艦空母「広東」艦長は台風に突入し、これを乗り切る事で、あらゆる面で自衛隊の優位に立つ事ができると考えているのです。

軍の艦船が、装備破損のリスクを犯してまで悪天候に立ち向かい、それを無事克服できたからといって、なぜそれで自衛隊の優位に立ち、東シナ海を制圧したとまで思う事ができるのか?

悪天候にあえて戦いを挑み、少しでもダメージを受ければタダのバカですし、無事に通過できたとしても、自己満足以外に、何か得るものがあると言うのでしょうか?
私にはさっぱり理解できないまま、物語は進んでいきます。

とはいえ、現実の中国がやっている事を考えてみると、空母「広東」の艦長がやっているくらいの事には何の不思議も感じないほど、何から何まで私の想像を超えていますから、むしろこの程度のエピソードが挿入された方が、日本対中国の戦闘を描写する上では、リアリティが増すとの計算があるのかも知れません。
自分の常識の範囲で物語の自由度を狭めても、楽しみが減るだけだと自分を戒めつつ、更に読み進めていきます。

殲20編隊のF35J急襲作戦

無事台風をやり過ごす事に成功した北海艦隊は、早速殲20を20機、空母「広東」から発艦させます。

しかし第5護衛隊群への空爆が目的と思わせておいて、尖閣諸島上空近くで突如2隊に分かれて進路を変更します。

殲20編隊の真の目標は、下地空港と、そこに駐機している第九航空団のF35Jだったのです。(画像は航空自衛隊HPより引用)
狙われた事に気づいて、F35Jが直ちにスクランブル発進しますが、無事離陸できたのは一機のみで、他の七機は全て殲20のミサイルに破壊されたばかりか、C2輸送機まで破壊されてしまいます。

F35J × 7機 = 1,050億円也

すぐ近くに敵戦闘機の編隊がいる事が判っていながら、スクランブル発進もできないままミサイルに破壊されてしまうって、どんな警戒態勢なのでしょうか?
ついでに宮古島の民間空港まで破壊され、日本側の大失点となりました。

殲20編隊の空母いぶき撃沈作戦は・・・?

次いで殲20編隊の第二波は24機で、第5護衛隊群に向かってきます。
主目標は勿論、空母「いぶき」です。

が、意外にも秋津艦長はF35による迎撃を許さず、あたごちょうかいゆうぎりあまぎりの4護衛艦に対空火力による防御を指示します。

殲20の編隊は、空母「いぶき」の撃沈が主目的ではあるものの、その前にF35と空戦になる事を予想しているはずです。
という事は、殲20が搭載している兵器の多くは空対空ミサイルであるはずで、対艦ミサイルは少数のはずです。
それに対し、F35を飛ばさず、全て護衛艦のミサイル等で対応すれば、殲20の編隊は予定していた戦闘の裏をかかれ、攻撃に乱れが生じるはずです。
秋津艦長はここまで読んだ上で、F35の待機を選んだのでした。

秋津艦長の読み通り、殲20の編隊はF35との空戦を予想し、各機の弾薬倉には対空ミサイル8基、対艦ミサイル2機搭載していましたが、敵艦隊の100キロ圏内に入ってもF35が迎撃してこない為、装備の積み替えの為の一時退却の提案もありましたが、空母「広東」の劉 長龍艦長は、

中国海軍は海洋の王たらん。逃げる事は許されぬ。(中略)
中国とは、過去も現在も、全てを呑みこむ巨大な龍なのだ。
(出典:『空母いぶき』第九巻、空母広東の劉 長龍艦長の言葉より) 

という事で、殲20の編隊の攻撃継続を指示します。
殲20の編隊は6機撃墜されたところで、編隊を2隊に分散し、降下を始めます。
高空でミサイルに狙い撃ちされるより、接近戦の方に分があるとの読みがあるようです。

第十巻をお楽しみに。