空母いぶき

『空母いぶき』第十一巻【中国の約束が持つ意味とは?】

空母いぶき第十一巻

『空母いぶき』第十一巻では作者かわぐち氏が得意とする潜水艦バトルをメインに描かれていますので、存分にお楽しみ下さい。

空母「広東」を守る駆逐艦6艦のうち、ダメージを与える事ができたのは3艦に留まった為、秋津艦長は追加的作戦を立案し涌井第5護衛隊群指令に伝えます。

涌井指令でも、迷わず命令できるか不安に思うほど困難な追加作戦とは、東シナ海という浅海(せんかい)に位置する「広東」艦隊への攻撃を、潜水艦に命令するというものでした。(画像は海上自衛隊HPより引用)
潜水艦にとって浅海は非常に危険な場所であり、作戦行動を避けるのが普通ですが、だからこそ敵の盲点にも入っており、それをあえて突く事に価値があると秋津艦長は考えたのでした。

選ばれた潜水艦は「遠征103号」を撃沈した、あの「けんりゅう」です。
けんりゅうの滝艦長は、この困難な命令を、世界最強の潜水艦の自負をもって引き受け、東シナ海を目指します。

この第十一巻は、作者であるかわぐちかいじ氏お得意の「潜水艦バトル」がメインの展開となりますので最高です。

その頃、ニューヨークの国連本部ビルでは、尖閣紛争について議論が行われていました。
その席で米国代表が、尖閣諸島の領有権が日本と中国のいずれにあるかという事に対して、米国の立場は中立であると表明します。

これは事前に、米中間の個別対談で、中国から米国に対し、中国には尖閣諸島の領有以上の野心は無く、沖縄は狙ってはいないという口車に、米国が乗ってしまった結果です。

沖縄には米軍が駐留しており、中国が取りたくても取れないので「取るつもりは無い」と言いますが、将来状況が変化して沖縄が中国の手の届く状態になれば、話は別です。

事実、2015年9月に習近平主席が訪米した折り、オバマ大統領との会談後の記者会見で「南沙諸島を軍事化するつもりはない」と発言します。

米国は念の為、中国外交部に確認を入れますが「見解に変更は無い」との回答を得た為、南沙諸島の非軍事化は中国の「公式見解」とみなします。

しかし当時(2015年9月)には既に南沙諸島に3000メートル級の滑走路が作られていた事が発覚します。
米国がこれを非難すると、中国は「軍事化ではなく、防衛に必要な施設を整えただけだ」と答えたと言います。

米軍の協力が期待できなくなった日本は、「いぶき」艦隊に期待する以外に無いのでしょうか?

困難な使命を背負った潜水艦「けんりゅう」でしたが、巧妙な操艦技術と、神業レベルの魚雷攻撃技術により敵駆逐艦を沈める事なく無力化に成功し、沖縄トラフの深海へと消えていきます。

第十二巻をお楽しみに。