空母いぶき

『空母いぶき(完結編)』第十三巻【遂に最終巻、日本はどうなる?】

空母いぶき第十三巻

今回の記事は、筆者の個人的見解があなたの読後感に悪い影響を与えてしまう可能性が否定できないので、ぜひ『空母いぶき』第十三巻を全てお読みになった後で、ご覧になる事を強くお勧め致します。

あまぎりちょうかいゆうぎりあたごの4護衛艦が技術の限りを尽くして、殲20が放った全魚雷の破壊に成功します。

一方、F35JB2機が広東に到達し、一機は駆逐艦と刺し違えて撃墜され、残る一機はミサイルを使い果たしている為、至近距離から空母「広東」の甲板(=艦載機の滑走路)をガトリング砲で破壊し、空母としての能力を喪失させた後、敵のファランクスに弾を撃ち込まれてベイルアウト(射出座席による緊急脱出)します。

これで艦隊決戦は勝負がついたとみて、秋津艦長から空母「広東」の劉艦長に通信を申し入れます。

中国側艦載機20数機は空戦からの帰還中に空母を失い、着陸の場を失ったので、与那国、石垣の空港への着陸を許可するという申し入れです。

この申し入れを受け入れるという事は降伏宣言に等しいものですが、広東の劉艦長は負けを認め、秋津艦長の申し入れを受け入れる事にします。

と同時に与那国島に入っていた人民解放軍の大隊も休戦状態に入り、近くまで来ていた第一空挺団も一切攻撃を受ける事のないまま島への降下に成功しました。
一気に、日本側の完全勝利、大団円へと締めくくられていきます。

満を持しての第一空挺団の降下では、その圧倒的な錬度で中国軍を圧倒する戦闘シーンが期待されました。
空母いぶき全13巻でも、最大の見せ場にもなり得ると期待しましたが、その期待は全くの不発に終わりました。
主役が空母いぶきの第5護衛隊群ですから、まあ無理も無い事かもしれません。

秋津艦長がヘリで空母「広東」に乗り込んで劉艦長と対話するシーンも、私個人的にはあまり読みたくありませんでした。

ちょっと中国軍が、潔(いさぎよ)すぎるのです。

本当のところを全て書けば、劣勢に立たされた中国が巨大な援軍を送ってよこし、空母いぶきも結局海の藻屑にならざるを得ません。
なぜなら、この作品の中では米軍の援護が期待できない設定になっているからです。
米軍に助けられて尖閣を奪還したなら、空母いぶきは脇役以下に転落してしまいます。
中国が援軍を送らずに、日本の勝利で物語を終わらせるには、結局この終わり方しか無かったのかも知れません。

まあ、実在する国家の本性まで「正直」に描いてしてしまう事は、さすがに日本の出版物には無理な事だったのかも知れません。

第13巻の内容には、読む前の私の期待が大きすぎて少し残念に感じた点もありましたが、『空母いぶき』全13巻全体で見れば、最初から最後まで非常に面白い作品であったと思います。