空母いぶき

空母いぶき『映画の感想』駄作の極み。「実写版」を名乗る資格なし!

空母いぶき実写版

大人気コミック『空母いぶき』の実写版が出来たという事で、早速見てみました。
その衝撃の「駄作ぶり」についてご紹介します。

コミック全13巻の「空母いぶき」と実写版の「空母いぶき」は、ストーリーが別物なので「実写版」と形容する事すら不適当かも知れません。
(なので、これ以降は「なんちゃって実写版」と書く事にします。)

「全くの別物」という前提でご覧になるなら結構ですが、「空母いぶきの実写版」という事に少しでも期待されるのであれば、決しておススメできる映画ではありません。(期待されて当然である事を考えると、この内容には怒りさえ感じます。)

まずコミック版の「空母いぶき」の何が面白いかというと、

現実の世界でも「尖閣は中国の核心的利益」と公言している中国が、実際に軍事力を行使して尖閣の侵略を開始した場合、自衛隊はどう戦い得るのか?

という、実在する日本国民の大きな関心事に正面から切り込んだ作品である点が大きいと思います。

なんちゃって実写版の敵はリアリティの無さが致命的

ところが「なんちゃって実写版」では、攻めて来るのが「東亜連邦」という架空(ほぼ正体不明)の新興国になっていて、リアリティの欠片(かけら)も感じられません。

映画の途中に繁盛しているコンビニのシーンが挿入されていますが、ストーリーの一部としての前後の脈絡が全く無く、意味不明でしかありません。
まあ、強いて推察するとすれば、シリアスな映画の中で、少しコミカルなシーンも入れてバランスを取りたかったと見る事もできますが、前後の脈絡が無い状態で入れる事の害の方が大きいと感じられます。

そして何といっても、最も盛り上がるはずの侵略国と空母いぶき艦隊の決戦のシーンで、「なんちゃって実写版」では突然国連軍が出てきて戦闘を中止させてしまうのです。
国連軍には、常任理事国5か国の潜水艦が参加していて、五星紅旗をたなびかせた中国の潜水艦もその中に含まれています。

コミック全13巻の「空母いぶき」では侵略の当事者である中国が、「なんちゃって実写版」では侵略国と日本との交戦を中止させる国連常任理事国の中の一国として登場してくるのですから「実写版」を名乗るに値しない事は明らかでしょう。

「よくこんな映画作ったね?」と呆れるしかない迷作

上映時間2時間15分の本作ですが、国連軍の登場は最後の20分あたりで、それから最後までは、ひたすら無意味な映像が流れるだけです。(考えてみると、最初から最後まで全部無意味と言っても過言ではない事に気がつきます。)

少しだけこの映画の良い所を挙げておくと、護衛艦からミサイルや機関砲を撃つシーンは、私にはリアルに感じられて面白かったです。
軍事に詳しい人から見てどの程度の出来栄えなのかは私には解りませんが、この映画全体を通して、自衛隊が実力を行使するシーンは(少なくとも私には)見てよかったと思います。
しかし、こうした特撮シーンにお金がかかり過ぎて、その他の部分で手を抜くしか無かったとしたら、誠に残念な事です。

ここまで原作(コミック版)の見どころを犠牲にして、ストーリー的に無意味なシーンで尺を稼いで、なぜわざわざこんな映画を作る必要があったのか?
その理由は存じませんが、ある意味「日本の現状を映した映画」という事だけは、間違い無さそうです。