潜在意識

潜在意識の自動運転装置としての機能

潜在意識の自動運転機能

私たちは、呼吸を意識的に早める事もできれば、一時的に止める事もできます。
でも、呼吸の事を意識している時を除けば、1日24時間の殆どは無意識的に、呼吸が最適な状態で維持されています。
呼吸に限らず、人は自分の体内の臓器の事には殆ど無関心で暮らしていますが、実際には目も眩むほどの複雑な調整機能が各臓器を最適な状態にコントロールしています。

その中心的な存在が潜在意識であり、その自動運転装置としての機能です。

潜在意識の第二の機能は「自動運転装置」

潜在意識は、私たちの循環器系(心臓・血管系)、消化器系(胃、腸、肝臓、膵臓等々)、呼吸器系等(主に肺)、内分泌系(主にホルモンの分泌)等の肉体的なバランスが常に最適なレベルに保たれるよう「自動的」にコントロールしています。

生物が持つ、体内の状態を一定に保つ自動運転装置としての機能は
恒常性維持機能(ホメオスタシス)
という名称でも広く知られています。

これらがもし自動的でなく、常に意識的に調節していかねばならないとしたら、もうそれだけで頭の中は常に満杯で他の事を考える余裕も無く、寝る事すら出来なくなってしまうでしょう。

「それらは、単に身体的機能ではないのか?」

と疑問に感じられたかもしれません。
しかし、人間の生理的機能の殆どは「脳」が関与し、コントロールしています。

例えば心臓の拍動一つとってみても、無意識でも一定のリズムを保てる仕組みがある一方で、顕在意識が興奮すれば脈が速くなる事は、どなたでもご存じの事と思います。
わざと顕在意識では心臓の動きを直接は調節できないようにしている一方で、肉体や顕在意識の状態の変化に伴って、生理的機能を変えるべき時には、潜在意識がしかるべき命令を体内に向かって自動的に発信しています。
それらの命令は、神経系統は勿論、ホルモン等の物質によっても伝達されているのですが、それはそれは、想像を絶する複雑さと煩雑さです。

そうした潜在意識の不断の活動について、顕在意識が意識している必要はありません。

でも大怪我や大病によって人命を、部分的ではあるにせよ人工的に維持する必要が発生すると、集中治療室(=ICU)で、沢山の機械やコンピューターと電極やチューブで繋がれる必要が発生します。

これらの機材や投与される薬品の種類の多さに気付く時、私たちが普段何気なく健康に生きている事の「素晴らしさ」を意識せずにはいられません。

潜在意識は、生命活動を24時間不眠不休で管理・統制してくれているのです。

更に潜在意識は、私たちが「意識的な活動」と思っている事でさえも、その殆どを「自動的」にコントロールしています。

人生の様々な事柄で発揮される潜在意識の自動運転機能

私が生まれて初めてバイクに乗った時は、全てが顕在意識の仕事でした。

アクセルのふかし方も、手と足による前後のブレーキ操作も、微妙なクラッチの繋ぎ方も、エンジンの回転数にリンクしたシフトチェンジも、何から何まで「思考」「判断」の全てを顕在意識で行う必要がありました。

ところが、いつの間にかバイクの運転に習熟すると、全ての操作が無意識で適切に行えるようになっています。
バイクに乗っていない時は、クラッチレバーが右側だったか左側だったかさえ曖昧な感じがするほどなのに、いざバイクに跨ってしまえば、全ての操作がスムースに、殆ど何も意識することなく行われていきます。

出発してから目的地に着くまで、何回クラッチを操作したのか、どのタイミングでブレーキレバーを引いたのか等、殆ど全く思い出せませんが、出発して目的地に無事到着したのですから、終始適切な操作を繰り返していた事は確かです。

言語機能が無理なく使えるのも、潜在意識の自動運転機能のおかげ

「文字」だって、最初に覚えた頃は、とても「意識的」な存在でした。

ひらがなでさえも、「」と「」、「」と「」、「」と「」、「」と「」と「」等の違いを注意深く意識していないと、すぐに間違えたりしていました。

ところが今や、「吉野家の牛丼」「コロナ禍」「仮想通貨」「専守防衛」・・・ こうした複雑な文字の連続体であっても、見た瞬間に、意味は勿論、香りや味や概要やイメージや感情まで伴って、総合的に認識する事ができます。

あまりにも瞬間的に認識できるので、ついこれが顕在意識の仕事のように思えてしまうかも知れませんが、(顕在意識が思考している最中にだけ維持される一時的な記憶を除き)記憶は全て潜在意識側が担っていますし、その記憶に関連した意味や感情まで伴って顕在意識が感じるのは、潜在意識が自動的に情報の「とりまとめ」までも瞬時に行ってくれているからです。

もし顕在意識側で「吉野家の牛丼」の意味やイメージを常時保存しているとしたら、映画を見ていても、読書をしていても、恋人と愛を語らっていても、何をしていても常に「吉野家の牛丼」のリアルなイメージと共にあらねばならなくなってしまいます。
そんなバカな事は無いですよね?

バイクの運転にせよ、文字を読む事にせよ、最初(=慣れない間)顕在意識が全面的に関与する必要がありますが、繰り返しバイクを運転したり、繰り返し文字を読んだりする事、つまり練習を重ねる事で、次第にそのスキルが潜在意識のレベルに落ちて行って、遂には「自動化」が達成されるという事が理解して頂けたでしょうか?

この「自動化」は、あなたの「生の全て」に及んでいます。

朝起きてから家を出るまで、通勤、出勤してからお昼まで、ランチタイム、午後の仕事、帰宅、夕食、入浴、就寝・・・・、毎日繰り返されている事の殆どは自動化されています。
顕在意識は常にあなたと共にあるので、あなたは常に意識的に生きているように思い込んでいますが、毎日繰り返し行っている事の殆どは潜在意識によって自動化されています。

あなたの顕在意識は他の事を考えていても、殆どの事を無意識的に、無難にこなす事ができてしまうのは、潜在意識の「自動運転機能」のおかげです。

ぎこちない赤ちゃん

赤ちゃんが生まれて初めて立ち上がる時、全ての動作が「意識的」である事が見て取れます。
だからとても「ぎこちない」のです。

でも、大人のあなたが立ち上がる時には、あなたの顕在意識が「立ち上がろう」と思うか思わないかのうちに、全身の各筋肉が最適な動作で協調し「立ち上がる」という総合的な動作を「自動的」に完成させます。

歩行も、咀嚼も、排泄も、会話も、あらゆる行為は意識的に行っているようにあなたが思っているだけで、その殆どは自動化されているのです。

あなたが英語のネイティブでなければ、英語で会話するのは、母国語で会話するよりずっと疲れるはずです。
母国語なら、いくらでも会話を続けられます。
この差こそが、自動化されているレベルの違いなのです。

プロがプロらしく仕事ができるのも、潜在意識の自動運転機能のおかげ

プロの芸術家も、殆どの事が自動化できているからこそのプロです。
難曲を軽々と奏でるピアニストも、演奏する曲の殆どを潜在意識レベルに落とし込んでいて、十本の指が殆ど勝手に演奏してくれるからこそ、細部の表現やタッチにこだわった芸術的な演奏が可能となるのです。

「次はこの和音だから、右手はこの指の形で、左手はこの形で、ペダルはこうで・・・」

等と考えながら演奏している訳ではありません。
ピアニストに限らず、あらゆる種類の楽器奏者も、F1ドライバーも、ゴルファーも、ダンサーも、レストランのシェフも、絵画の巨匠も、陶芸家も、どんな方面の事でも、上級者ほど高いレベルで「自動化」を達成しているからこそ、常人では気の回らない部分にまで意識を送る事ができるのです。

潜在意識の「自動運転機能」は「恒常性維持機能」と一体不可分である。

恒常性維持機能(ホメオスタシス)は、可能な限り現状を維持する事に努め、プロセスを自動化するという機能に加えて、新しい環境に自分を適応させていくという積極的な機能も持っています。

高地順応も、潜在意識の第二の機能「恒常性維持機能」があればこそ

平地で暮らしてきた人が、いきなり高度3000メートルの高地へ行くと、息切れがするだけでなく、ひどい場合には高山病に罹って命の危険すらあります。

しかし、そのままなんとか高地で暮らし始めると、体が急速に高地に順応していきます。
低濃度の酸素でも息切れしないで活動できるように、血液の成分から毛細血管の密度や心肺機能まで、どんな世界の名医でも手も足も出ない高度な身体機能の改善・改良が、無意識的(=自動的)且つ連鎖反応的に達成されていきます。

このように潜在意識の「恒常性維持機能」は、単に現状維持に努めているばかりではなく、体が変化しなければならない場合には、人間の医学や薬学のレベルでは手も足も出ないような高度な順応を完成させる能力も備えています。

人間(の顕在意識)は、自分の体がどういう構造になっていて、どのようなメカニズムで「生きているか」なんて事は、知っているように思っているだけで、実は殆ど全くと言って良いほど知りません。

人間は、既に目の前で起こっている事に対しては、なるべく疑問を感じないように作られています。
いちいち疑問に感じていたら、きりがなくなって、生きていくのに疲れてしまうからです。

潜在意識の「恒常性維持機能」は人生の脚本まで書いてしまう

潜在意識の「自動運転機能」と「恒常性維持機能」が合わさると、

誰が筋書を考えたのか?

と驚くような、ストーリー性に満ちた展開が起こる事があります。

詐欺や公金横領等で分不相応な大金を手にした犯人が検挙されてみると、既に殆ど一文無しという事が良くあります。
お金に不自由していたからこそ、そんな犯罪にも手を染めてしまうのでしょうが、大金が入ったら入ったで、潜在意識の恒常性維持機能としては、元の貧乏に戻りたくて仕方無いのです。

お金に不自由し続けてきたので、お金が有り余っている状況が不快で仕方ないのです。
勿論、顕在意識の方はウキウキなのですが、潜在意識の仕掛ける筋書に踊らされて、短期間で貧乏に戻ってしまいます。

毎日のように大金を湯水のごとくギャンブルに投じたり、慣れない投機に手を出して大損したり、愛人を作って全てを貢いでみたり、およそ貧乏な頃には想像もしなかったような方法でみるみる所持金が減っていきます。

でも顕在意識でどう頑張っても、それを食い止める事ができないのです。
これは、宝くじの高額当選者、短期間に資金を何十倍にもしたトレーダー、一発屋のヒット歌手、急成長した起業家等々、にわか成金に普通に見られる現象です。

大金を浪費してしまった元成金人間は「自分の自由意思でこうなった」と思い込み、「俺はバカだった」と反省したりしますが、もし潜在意識恒常性維持機能の事を知っていたら、もう少しマシな結末を迎えられたかも知れません。

潜在意識の描く「過去の状態に戻る為の筋書」があまりに創意工夫に満ちている為に、「創造的無意識」と呼んで、潜在意識の中の独立した機能として分類する心理学者もいます。

日本ではまだ「創造的無意識」という言葉は、あまり一般的とは言えない状況ですが、アメリカは日本よりかなり進んでいる様子で、「Creative Subconscious」で検索すれば、沢山のサイトから情報を得る事ができます。
今後は日本でも、もっと広く知られる言葉になっていくのかも知れません。
(「潜在意識」と「無意識」は、少なくとも本レポート内では特に区別しておらず、いずれも英単語は「subconscious」です。)

潜在意識の三つ目の機能はコチラ!